予防・治療について

2024.01.30 犬の心雑音って治るの?|心臓病がかくれている可能性も

動物病院で獣医師が行う健康診断の項目には必ず「聴診」が含まれます。
聴診とは文字通り、聴診器を使って犬の心臓の音や呼吸時の肺の音を聴取し、異常な心音 (=心雑音)や呼吸音が混じっていないか確認します。
特に高齢の小型犬は心臓病になるリスクが高く、心雑音によって早めに心臓の異常に気付くことが重要です。

今回は心雑音について原因や治療方法などを解説していきます。

■目次
1.心雑音とは
2.どんな病気がかくれているのか
3.心雑音と診断されたら何をしていくのか
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

心雑音とは

心雑音とは心臓の雑音のことで、ドックンドックンというような正常な心臓の鼓動と調和せずに、音律を乱しているものです。 犬ではザッザッ、シャーッシャーッという雑音が聞こえることがあります。
病気ではないものも一部ありますが、一般的には心臓や血管の機能に何か異常がある場合に心雑音が聞こえます

心雑音は心臓病の診断において極めて重要な要素
になります。

 

どんな病気がかくれているのか

心雑音の原因として最も多いのが、僧帽弁閉鎖不全症です。左心房と左心室の間にある僧帽弁といわれる弁がしっかり閉じないことで、左心室から左心房方向へ血液が逆流する心臓弁膜症の1つです。
また、三尖弁閉鎖不全症を合併している場合もあります。

そのほか、大動脈弁狭窄症などの心臓弁膜症、動脈管開存症、心室中隔欠損などの先天性心疾患、拡張型心筋症などの心筋症、心膜炎や心臓腫瘍などの心臓の病気が挙げられます。

一方で、ごく稀に心臓に異常がなくても貧血や興奮などによって心雑音が聴取されることがあります。これは心臓病の診断においては重要ではない心雑音であり、「無害性雑音」として区別しています。 

 

心雑音と診断されたら何をしていくのか

心雑音ありと診断されたら心臓病の存在を第一に疑い、レントゲン検査、エコー検査を実施します。

レントゲン検査
レントゲン検査では心臓の大きさ (心臓病が進行すると多くの場合、心臓が拡大する)や肺水腫の有無 (肺水腫:肺に水が溜まり、うまく呼吸ができない状態)などを評価します。

※心臓病が進行すると心臓のポンプ機能が低下します。すると肺から受け取る新鮮な血液を全身に送り出せなくなり、心臓内の血液量が増加して心臓が大きくなります (心臓内の圧力が高まっている状態)。

また、心臓内の圧が高まると肺からの血液を十分に受け入れられなくなり、左心房→肺静脈→肺の毛細血管の順番に圧力が上昇し、肺のうっ血が起こると肺水腫が発症します。
肺水腫は呼吸状態の悪化に直結するため、命の危険がある非常に危険な状態です。

エコー検査
心臓病の診断には欠かせない極めて重要な検査です。超音波を用いて心臓内の状況をリアルタイムで観察できます。
心臓内の弁の動きや形の異常、心臓の壁の厚さ、血液の乱流などを総合的に評価し、心臓病を診断します。心臓腫瘍があればエコー検査で発見できます。

その他の検査として、心電図検査や呼吸状態の確認、血圧を測定することもあります。

 

治療方法

心臓病の治療方法は、心臓病の進行度や年齢、腎臓病などその他の疾患の有無などに応じて、心臓の収縮力を強める強心薬、利尿剤、降圧剤、βブロッカーなどを組みわせて症状の改善を狙う内科的治療、肺水腫による呼吸困難の症状がみられる場合は酸素療法を行います。また、心拡大がみられる場合には、ナトリウムを制限した療法食を使用した食事療法を行うこともあります。

基本的に心臓病の完治は難しく、薬を使って心臓病の進行スピードを遅らせることが重要となります。
また、心臓病による心雑音は治ることはなく、定期的に聴診を行って心雑音が悪化していないかを確認しましょう。

なお、根治を目指すのであれば、犬の僧帽弁閉鎖不全症に対して心臓手術を行う必要があります。しかし、実施可能な施設は限られていて、費用が高額であるというデメリットもあります。

 

予防法やご家庭での注意点

残念ながら、心臓病や心雑音に対して有効な予防法はありません
心臓病と診断されたら、心臓に負担をかけないために以下のポイントに注意してください。

・呼吸が上がるような激しい運動は控える
・塩分の多い食事を避ける
・極端に暑い場所、寒い場所は避ける (交感神経が刺激され心臓の負担が高まる)
・肥満であればダイエットをする

 

まとめ

心雑音は心臓病を発見する重要な手がかりです。心臓病による心雑音は治ることはありませんが、早期発見・早期治療を行えば進行速度を遅らせることができるため、定期的に動物病院で健康診断を受診し、心臓のチェックを受けることが大切です。

 

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