2024.03.06 猫にフィラリアの予防は必要?|薬の必要性や検査について解説
フィラリア症とは、蚊に刺されることでフィラリアという寄生虫が心臓や血管に寄生し、血液の循環障害を起こす病気で、別名を「犬糸状虫症」と言いますが、猫にも感染することが知られています。
フィラリア症は放置することで命に関わる恐ろしい病気であるため、予防することが必要です。
今回は猫のフィラリア症について詳しく解説します。
■目次
1.フィラリア症ってどんな病気?
2.猫のフィラリア症の症状
3.フィラリア症の診断法
4.フィラリア症の治療法
5.フィラリア症の予防法
6.まとめ
フィラリア症ってどんな病気?
寄生虫といえば生肉や川魚などを食べて感染するイメージが強いと思いますが、フィラリアは蚊に刺されることで感染します。
蚊が既にフィラリアに感染した犬や猫の血を吸うと、血液中のフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)も同時に蚊の体内に入ります。そのミクロフィラリアが蚊の体内で成長し、0.2 mmほどの感染子虫となります。
次に蚊がフィラリアに感染していない犬や猫を刺すと、そのタイミングで感染子虫が犬や猫の体内に入り、新たな感染が成立します。
そして、感染子虫は犬や猫の体内でさらに成長して成虫となり、最終的に心臓や肺に寄生します。
フィラリアは犬糸状虫症という別名からも分かるように、成虫になると体長20〜30cmもある糸状の非常に細長い形になります。これらの成虫が心臓や肺に多数寄生すると、心臓や血管の循環障害や呼吸困難を引き起こします。
猫のフィラリア症の症状
犬のフィラリア症は主に心臓に症状が現れますが、猫のフィラリア症は主に肺に症状が現れます。猫は犬に比べてフィラリアヘの抵抗性が強いため、犬ほどフィラリアが体内で成長せずはっきりとした症状が出ないこともあります。
しかし、猫の体内でフィラリアの幼虫が死亡すると、犬糸状虫随伴呼吸器疾患(HARD)と呼ばれる喘息や咳、呼吸困難などを示す肺血管の急性炎症が発症します。さらに、成虫の死骸が肺血管に詰まることで急速に症状が悪化し、突然死を引き起こすことがあります。
猫のフィラリア症は無症状から一転して急激に悪化することがあるため、診断が難しい病気でもあり、一度感染してしまうと完治させることも難しいため予防がとても大切です。
フィラリア症の診断法
犬は少量の血を用いて行う優れた検査法がありますが、猫の場合は犬の検査のように正確性に優れた検査法がないため、検査でフィラリア陽性かどうかを見分けるのが大変困難です。
そのため、臨床症状や抗原検査、フィラリア予防歴の有無、心臓のエコー検査などの結果を総合的に判断して診断します。
フィラリア症の治療法
犬のフィラリア症には駆虫薬が存在しますが、猫の場合、現時点で有効な治療法は確立されていません。
そのため、咳や呼吸困難などの症状を緩和するための治療 (対症療法)が基本となります。
寄生した成虫を取り出す外科手術もありますが、呼吸状態が悪い猫に全身麻酔をかけるリスクを考慮して実施されないことが多く、手術を行ったとしても肺症状は残ることがほとんどのため、投薬を続けなければなりません。
フィラリア症の予防法
繰り返しになりますが、フィラリア症は予防が極めて大切です。
スポットタイプ(身体に少量の液体を垂らすタイプ)の予防薬を毎月1回投与することで、
フィラリア症を簡単に予防することができます。
また、予防のシーズンは東北エリアでは5月〜11月ごろが推奨されています。
まとめ
近年、地球温暖化による平均気温の上昇から蚊が増加しており、フィラリア症のリスクは年々増加しています。
完全室内飼いの猫も油断することはできませんので、必ず毎月のフィラリア予防を実施するようにしましょう。
予防に関して何かご不明点がありましたら、是非当院にご相談ください。
■当院の予防医療についてはこちらでも解説しています
・犬のフィラリア症について|毎月の予防が大切
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