予防・治療について

2026.06.26  犬の膵炎|何回吐いたら病院へ?祈りのポーズ・ぐったりに注意

愛犬が吐いていると心配になる一方で、「少し胃腸の調子が悪いのかな」と様子を見られる飼い主様も多いかもしれません。

しかし、犬の「吐く」という症状の背景には、一時的な胃腸炎だけでなく「膵炎」が隠れていることがあります。特に、何度も繰り返し吐く場合は注意が必要です。

膵炎は強い痛みを伴うこともある病気で、重症化すると命に関わるケースもあります。特に「ぐったりしている」「祈りのポーズをしている」といった様子が見られる場合は注意が必要です。

今回は、犬の膵炎で見られる症状や受診の目安、当院で行っている検査・治療、再発予防の考え方について解説します。

■目次
1.犬の膵炎ってどんな病気?
2.こんな症状は要注意|膵炎で見られるサイン
3.当院で行う膵炎の検査と治療
4.治療後・再発予防で大切なこと
5.よくある質問(FAQ)
6.まとめ|「少し様子を見よう」が危険なこともあります

犬の膵炎ってどんな病気?

膵臓は、食べ物を消化するための酵素をつくっている臓器です。膵炎では、その酵素が本来とは違うタイミングで膵臓の中で働いてしまい、自分自身の組織を傷つけることで炎症が起こり、強い腹痛や吐き気につながります。

症状の程度には幅があり、軽症で落ち着くケースもありますが、重症化すると脱水や全身状態の悪化につながり、命に関わることもあります。

また、犬の膵炎は「何となく元気がない」「少し食欲が落ちている」といった症状から始まることもあり、初期段階では見分けが難しい場合も少なくありません。そのため、普段との違いに早めに気づいてあげることが大切です。

こんな症状は要注意|膵炎で見られるサイン

膵炎では、次のような症状が見られることがあります。症状の出方には個体差がありますが、複数の変化が重なって見られるケースも少なくありません。

何度も吐く
食欲が落ちている
元気がない、ぐったりしている
お腹を痛がる
下痢を伴うことがある
震える、落ち着かない

<犬に特徴的な「祈りのポーズ」>

犬の膵炎では「祈りのポーズ」と呼ばれる特徴的な姿勢が見られることがあります。これは、前足を伸ばして胸を床につけ、お尻を上げるような姿勢です。

もちろんこの姿勢だけで膵炎と断定はできませんが、お腹の違和感をやわらげようとしている可能性があり、膵炎で見られる代表的なサインのひとつとされています。

<「ただの吐き戻し」との違い>

犬は比較的吐きやすい動物でもあるため、1回吐いただけでは判断が難しいこともあります。ただし、以下のような様子が見られる場合は、単なる吐き戻しではない可能性があります。

食欲低下や元気消失を伴う
時間が経っても吐き気が続く

「吐いたけれど、その後は普段どおり元気」という場合には、一時的な吐き戻しのこともありますが、症状が続く場合や、ほかの体調変化を伴う場合には注意が必要です。

<何回吐いたら病院へ?受診の目安>

1回だけ吐いても、その後元気や食欲があり、普段どおり過ごせている場合には、少し様子を見てもよいケースもあります。

一方で、以下のような場合には早めの受診をおすすめします。

短時間で複数回吐いている
水も飲めない、飲んでも吐いてしまう
ぐったりしている
高齢犬や持病がある犬
祈りのポーズをしている

特に「吐き気」「食欲低下」「元気がない」がそろっている場合は、膵炎を含めた重い病気が隠れている可能性もあります。

膵炎は「少し様子を見よう」としている間に悪化してしまうこともある病気です。「病院へ行くほどか迷う」という段階でも、まずは一度ご相談ください。

当院で行う膵炎の検査と治療

膵炎は重症化すると全身状態が大きく悪化することもあるため、早い段階で状態を把握し、適切な治療につなげることが重要です。

<当院での検査>

当院では、まず脱水の有無や腹痛、元気・食欲など全身状態を丁寧に確認します。そのうえで、必要に応じて通常の血液検査に加え、以下の検査を実施しています。

Spec cPL(膵特異的リパーゼ)
膵炎を疑う際に重要な血液検査です。膵臓に関連する数値を確認することができ、感度・特異度が比較的高いため、当院でも重視しています。

CRP検査
体内でどの程度炎症が起きているかを確認する検査です。膵炎の重症度を把握する参考にもなります。

腹部エコー検査
膵臓の腫れや周囲の変化を確認します。膵炎では、血液検査だけでは判断が難しいケースもあるため、エコー検査を組み合わせて総合的に評価することが重要です。

当院では、特に「かなりぐったりしている」「状態が悪い」といった場合には、Spec cPL・CRP・腹部エコーまで積極的に行い、できるだけ早く状態を把握するようにしています。

<当院での治療>

膵炎の治療は、その子の状態に応じて内容が変わります。当院では、ブレンダ(フザプラジブナトリウム水和物)を5日間投与しながら、必要に応じて以下の治療を組み合わせています。

点滴
吐き気止め
痛み止め
抗菌剤

毎日通院しながら点滴治療を行うケースが多く、状態によっては入院をご案内することもあります。

膵炎は、早めに治療を開始することで回復につながるケースも少なくありません。状態が悪化する前に適切な検査と治療につなげることが、その後の回復に大きく関わる場合があります。

治療後・再発予防で大切なこと

膵炎は、一度よくなっても再発することがある病気です。そのため、治療後も食事内容や体調の変化に注意していく必要があります。

特に脂肪分の多い食事には注意が必要になるケースがあり、状態によっては低脂肪食をご提案することもあります。

ただし、すべての犬が「一生涯ずっと療法食を続けなければならない」というわけではありません。その子の体調や再発状況を見ながら、無理のない形で食事内容を調整していくことが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. 検査費用はどのくらいかかりますか?
当院では血液検査+CRP+Spec cPLで17,160円(税込)が目安です。
また、腹部エコー検査は、状態によって5,500〜6,600円(税込)程度となります。
必要な検査内容は症状や全身状態に応じて変わるため、診察時にご説明いたします。

Q. 治療費はどのくらいですか?
入院の有無や使用する薬、その子の状態によって変わります。
診察時に状態を確認しながら、必要な治療内容とあわせてご説明しています。

Q. 一度治っても再発しますか?
再発するケースもあります。
そのため、治療後も食事管理や体調変化の早期発見が大切になります。

Q. 一生療法食が必要ですか?
すべての犬で長期間の療法食が必要になるわけではありません。
体調や再発状況を見ながら、その子に合った食事内容を調整していきます。

まとめ|「少し様子を見よう」が危険なこともあります

犬の膵炎は、強い痛みや重い体調不良を伴うことがある病気です。特に「何度も吐く」「ぐったりしている」「祈りのポーズをしている」といった様子は、見逃したくない重要なサインです。

膵炎は、早めに状態を把握し、適切な検査や治療につなげることで回復できる可能性があります。「ただの胃腸炎かもしれない」「少し様子を見てもいいのかな」と迷われる段階でも、まずは一度状態を確認しておくことが大切です。

当院では、必要な検査を組み合わせながら状態を総合的に確認し、その子に必要な治療をご提案しています。大崎市・古川周辺で、愛犬の嘔吐や食欲低下が気になる場合には、お気軽にご相談ください。

【監修者】アイ動物クリニック院長 瓜生 風馬(獣医師)

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