予防・治療について

2026.07.10  犬が水をよく飲む・おしっこが増えた…「年齢のせい」と思う前に知っておきたいこと

「最近、水を飲む量が増えた気がする」
「おしっこの回数や量が以前より多くなった」

このような変化を感じても「暑い時期だからかな」「年齢のせいかもしれない」と様子を見てしまうこともあるかもしれません。

しかし、水をよく飲む、おしっこの量が増えるといった変化は、クッシング症候群や糖尿病などの病気が隠れているサインであることがあります。こうした病気は、早い段階で原因を見つけて治療を始めることが、症状の進行を抑えることにもつながります。

今回は、ご家庭で気づけるポイントや考えられる病気、当院で行っている検査や治療についてご紹介します。

■目次
1.水をよく飲む・おしっこが増えたときにまず確認したいこと
2.水をよく飲む・おしっこが増える背景に考えられる病気
3.病院ではどのような検査を行うの?
4.診断後の治療と継続管理
5.よくある質問(FAQ)
6.まとめ|「年齢のせいかな」と思ったときこそご相談ください

水をよく飲む・おしっこが増えたときにまず確認したいこと

水を飲む量やおしっこの量は、病気に気づく大切な手がかりになります。一般的には、次のような量を超えると「多飲」「多尿」が疑われるひとつの目安とされています。

多飲の目安飲水量が体重1kgあたり100mL以上/日
多尿の目安尿量が体重1kgあたり50mL以上/日

ただ、ご家庭で毎日正確に測ることは難しい場合もあるかと思います。そのため、ご家庭では次のような変化にも注目してみてください。

尿の色が以前より薄くなった
尿のにおいが弱くなった
トイレシートが以前より重たく感じる

毎日一緒に暮らしている飼い主様だからこそ気づける小さな変化が、病気を早い段階で見つけるきっかけになることもあります。いつもと違うと感じた時点で、まずは一度動物病院に相談することをおすすめします。

水をよく飲む・おしっこが増える背景に考えられる病気

水をよく飲む、おしっこの量が増える症状の背景には、さまざまな病気が考えられます。

<クッシング症候群>

クッシング症候群は、副腎から分泌されるホルモンが過剰になることで起こる病気です。進行すると、筋力の低下や皮膚・被毛のトラブルなどが表れ、日常生活にも影響が出ることがあります。

クッシング症候群では、多飲多尿に加えて次のような変化が見られることがあります。

お腹がぽっこりしてきた
毛が薄くなってきた
左右対称に脱毛している
以前より元気がない
筋力が落ちてきた

特に高齢の小型犬で多く見られる病気です。

▼クッシング症候群についてはこちらから

<糖尿病>

糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気です。進行すると全身のさまざまな臓器に影響を及ぼすことがあるため、早めの診断と治療が大切です。

糖尿病では、多飲多尿のほかに次のような変化が見られることがあります。

食欲はあるのに痩せてきた
白内障が急に進行した

中高齢のメスで発症するケースが多くみられます。

<そのほかに考えられる病気>

多飲多尿は、次の疾患でも見られることがあります。

慢性腎臓病
子宮蓄膿症(未避妊のメス)
高カルシウム血症
尿崩症

このように、同じ「水をよく飲む」「おしっこが増える」という症状でも、原因となる病気は一つではありません。見た目の症状だけで判断することは難しいため、検査を行いながら原因を見極めていくことが大切です。

病院ではどのような検査を行うの?

水を飲む量やおしっこの量が増えた場合、当院ではまず問診や身体検査で、いつ頃から変化があるのか、食欲や体重の変化、尿の様子などを確認します。

そのうえで、必要に応じて次のような検査を行います。

血液検査
血糖値や肝臓・腎臓の数値、炎症の有無などを確認します。クッシング症候群や糖尿病、慢性腎臓病などを疑う手がかりになります。

尿検査
尿の濃さ、糖やたんぱくの有無などを確認します。多尿がある場合、尿が薄くなっていないか、糖尿病を疑う所見がないかなどを調べます。

腹部エコー検査
副腎、膀胱、子宮などの状態を確認します。クッシング症候群や子宮蓄膿症など、体の中で起きている変化を調べるために行うことがあります。

また、検査結果や症状からクッシング症候群や糖尿病が疑われる場合には、ホルモンの状態を確認する検査や、血糖値の変化を時間ごとに確認する検査を行うこともあります。

診断後の治療と継続管理

クッシング症候群や糖尿病、慢性腎臓病などは、一度治療をしたら終わりという病気ではありません。その子の状態に合わせて治療内容を調整しながら、長く付き合っていくことが大切です。

・クッシング症候群の場合
クッシング症候群では、内服薬による治療を行いながら、症状やホルモンの状態を定期的に確認します。当院では、治療開始後もその子の状態に合わせてお薬の量を調整し、3〜4か月ごとに経過観察を行っています。

・糖尿病の場合
糖尿病では、インスリン注射による治療が中心になります。あわせて、ご自宅での管理方法についても飼い主様と一緒に確認しながら、定期的に血糖値の変化を確認していきます。

・慢性腎臓病の場合
慢性腎臓病では、療法食や皮下点滴、定期検査などを組み合わせながら、できるだけ良い状態を維持できるようにサポートしています。

いずれの病気も、早めに気づいて継続的に管理していくことで、症状の進行を抑えられる場合があります。一方で、進行を完全に止めることが難しいケースもあるため、定期的に状態を確認しながら、その子に合った治療や管理方法を考えていくことが大切です。

当院では 「できるだけ普段どおりの生活を続けられること」を大切に、検査結果だけでなくご家庭での様子も伺いながら飼い主様と一緒に治療方針を考えています。

よくある質問(FAQ)

Q. 夜中にトイレを失敗するようになりました。病気でしょうか?
多尿が原因となっている場合もあります。一方で、高齢犬では認知機能の変化が影響していることもあるため、当院では生活環境や症状を詳しくお聞きしながら原因を見極めています。

Q. 糖尿病のインスリン注射は自宅でもできますか?
はい。当院では、ご自宅で安心して注射ができるように、打ち方や管理方法について丁寧にご説明しています。

Q. 食事制限は必要ですか?
病気によって異なります。糖尿病では療法食をご提案することがあり、クッシング症候群では体重管理や食事内容を確認しながら進めます。慢性腎臓病では腎臓病用療法食をご提案することがあります。

Q. 治りますか?
クッシング症候群や糖尿病、慢性腎臓病は、長く付き合っていく病気です。しかし、早期に発見し、適切に管理を続けることで、穏やかな生活を維持できるケースも少なくありません。

まとめ|「年齢のせいかな」と思ったときこそご相談ください

犬が水をよく飲む、おしっこの量が増えるといった変化は、クッシング症候群や糖尿病などの病気が隠れているサインであることがあります。「年齢のせいかもしれない」と思っていた変化が、検査によって病気の早期発見につながることも少なくありません。

当院では、血液検査や尿検査、腹部エコー検査などを組み合わせながら原因を確認し、その子に合った治療や継続管理をご提案しています。大崎市・古川周辺で、愛犬の飲水量やおしっこの変化が気になる場合は、お気軽にアイ動物クリニックまでご相談ください。

【監修者】アイ動物クリニック院長 瓜生 風馬(獣医師)

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