2026.02.26 野良猫を保護したらまずやるべきことは?ワクチン・駆虫とウイルス検査の適切なタイミング
大崎市・古川周辺は野良猫が多いエリアでもあり、特に春先になると「野良猫を保護しました」というご相談が増える傾向があります。寒い時期を懸命に乗り越えた子猫や母猫を見つけ「この子を迎え入れてあげたい」と行動してくださるそのお気持ちに、私たちも日々頭の下がる思いで向き合っています。
しかし、外で生活していた猫は、見た目が元気そうに見えても、寄生虫や感染症などのリスクを抱えていることが少なくありません。そのため、自己判断でお風呂に入れたり、すぐに先住猫と対面させたりする前に、まずは医学的なチェックを受けることが大切です。
保護した直後の対応によって、その後の健康状態や先住猫への影響が大きく変わることもあります。だからこそ「最初に何をすべきか」を正しく知っておくことが重要です。
今回は、野良猫を保護した際にまず行うべき隔離や初期対応、動物病院で必要となる駆虫・ワクチン・検査の流れやウイルス検査の適切なタイミングについて詳しく解説します。

■目次
1.保護したらまずやるべきこと
2.動物病院で受けるべき「3つの必須医療ケア」
3.ウイルス検査(猫エイズ・猫白血病)には「空白期間」があります
4.よくある質問(FAQ)
5.まとめ|自己判断は避け、まずはお電話でご相談ください
保護したらまずやるべきこと
野良猫を保護した直後は「まず何からしてあげればいいのか」と迷われる方が多いかと思います。保護直後の対応は、その子の体調だけでなく、先住猫やご家庭全体の健康にも関わる重要なポイントになります。
<「完全隔離」が鉄則です>
保護した猫がいる場合、最優先で行っていただきたいのが「完全隔離」です。
ノミや感染症のリスクがあるため、先住猫とは接触させず、必ず別の部屋で過ごさせるようにしてください。食器やトイレの共有も避けましょう。
また、ノミや回虫、皮膚のカビなどは、人やほかの同居動物に影響する可能性もあります。先住猫だけでなく、ほかの同居動物との接触も控え、お世話のあとは手洗いを徹底していただくことで、ご家庭内での感染リスクの低減につながります。
<お風呂には無理に入れなくて大丈夫です>
汚れが気になると、すぐに洗ってあげたくなるかもしれませんが、保護直後の猫は体力を消耗していることも多く、入浴が大きな負担になる場合があります。特に子猫や痩せている子では、低体温や強いストレスの原因になることもあるため、無理に洗う必要はありません。
ノミについては、見た目で確認できる成虫だけでなく、卵や幼虫が体や環境中に存在していることも多いため、確実な駆虫には動物病院で処方される駆虫薬による対応が基本となります。
ただし、シャワーを嫌がらないほど人慣れしており、かつノミの付着が多い場合には、人や同居動物への影響を考慮し、体調に問題がない範囲で、ノミ取りコームでのブラッシングやノミ取りシャンプーを併用して洗い流す対応をしてあげてもよいでしょう。その場合でも、最終的な駆虫は動物病院での処置が必要になりますので、早めの受診をご検討ください。
<保温と栄養管理(状態に応じて)>
ぐったりしている、体が冷たいといった様子が見られる場合は、まずは静かな環境で保温を優先してあげてください。
状態によってはミルクやフードの工夫が必要になることもありますが、無理に与えることでかえって負担になる場合もあります。様子を見ながら慎重に対応し、早めに動物病院へご連絡・ご来院いただくことをおすすめします。
動物病院で受けるべき「3つの必須医療ケア」
保護した猫を迎え入れるにあたっては、見た目の元気さだけで判断するのではなく、動物病院での医学的なチェックを受けておくことが重要です。
<身体検査>
まずは全身状態を丁寧に確認し、推定年齢や性別、ケガの有無、栄養状態などを総合的に評価します。
一見元気そうに見えていても、実際には衰弱や脱水、外傷、皮膚トラブルなどが隠れていることも少なくありません。そのため、初診時の身体検査は「問題がないかを確認する」だけでなく、その子の現在の状態に合った今後の医療方針を考えるうえでも非常に重要なステップになります。
<寄生虫駆除(外部・内部)>
保護猫では、ノミ・マダニなどの外部寄生虫や、おなかの虫(回虫など)の内部寄生虫が認められるケースが比較的多く見られます。
これらの寄生虫は、猫自身の体調不良の原因になるだけでなく、先住猫や人への影響につながる可能性もあります。だからこそ、早い段階で適切な駆虫を行い、体の内外の環境を整えていくことが大切です。
市販薬での対応を検討される方もいらっしゃいますが、年齢や体重、体調によって使用できる薬剤は異なるため、動物病院で状態を確認したうえでの駆虫がより安全といえます。
▼ノミ・マダニ・フィラリア予防についてはこちらから
<混合ワクチン接種>
外で生活していた猫は、これまでにワクチンを受けていない可能性が高く、感染症に対する免疫を十分に持っていないことが多いと考えられます。そのため、混合ワクチン接種は基本的かつ重要な医療処置のひとつです。
ただし、保護直後は体調が不安定なこともあるため、当院では身体検査の結果や全身状態を確認したうえで、無理のない適切なタイミングでの接種をご案内しています。
▼ワクチンの基礎知識についてはこちらから
また、月齢や健康状態によっては、避妊・去勢手術についてのご説明もあわせて行っています。特に6か月を超えている場合には、将来的な繁殖リスクや健康面も踏まえて、手術の適切な時期や具体的な流れをご説明のうえ、ご希望に応じてその場で手術日程のご案内・調整まで行っています。
▼猫の避妊・去勢手術についてはこちらから
ウイルス検査(猫エイズ・猫白血病)には「空白期間」があります
保護猫の診察で特にご相談が多いのが、猫エイズ(FIV)や猫白血病(FeLV)のウイルス検査についてです。どちらも先住猫との同居を考えるうえで非常に重要な検査ですが、実は「検査のタイミング」に注意が必要な病気でもあります。
<すぐ検査しても陰性になることがある理由>
感染してから検査で検出できるようになるまでに「空白期間(ウィンドウピリオド)」が存在します。これは、体内でウイルスや抗体が検査で反応できるレベルに達するまでの期間のことを指します。この時期に検査を行った場合、実際には感染していても検査では陰性と判定されることがあり、結果の解釈には慎重さが求められます。
そのため、初回検査が陰性であっても、その時点だけで完全に安全と判断することはできません。陰性結果のみを根拠にすぐ先住猫や同居動物と接触させてしまうと、万が一感染していた場合に家庭内での感染リスクが生じる可能性があります。
<再検査の目安と重要性>
一般的に、検出可能になるまでの目安は以下のように考えられています。
・猫エイズ(FIV):約2か月~
・猫白血病(FeLV):約1か月~
特に猫エイズ(FIV)は検出までに時間がかかることがあるため、保護直後の検査だけでは正確な判断が難しい場合があります。
アイ動物クリニックでは、1回の検査で猫エイズと猫白血病を同時に確認できる検査キットを使用していますが、両方の感染リスクをより慎重に評価するため「保護から2か月後の再検査」を推奨しています。これは、猫エイズの空白期間も含めて判定精度を高めること、そして初回検査での見落としのリスクをできる限り抑えるためです。
<再検査までの2か月間の過ごし方>
再検査までの期間は、単なる「待ち時間」ではなく、先住猫の健康を守るためのとても大切な管理期間になります。
この期間は、以下の点を基本として生活環境を整えていただくことが重要です。
・先住猫とは完全に部屋を分けて生活する
・食器やトイレは共有しない
・お世話の順番は「先住猫」→「保護猫」の順にする
・お世話後は手洗いを徹底する
初回検査が陰性であっても、再検査で最終的な評価を行うまでは慎重な隔離環境を継続することが、結果的に先住猫を守ることにつながります。
▼猫エイズ(FIV)と猫白血病(FeLV)についてはこちらから
よくある質問(FAQ)
Q. 費用の目安はどのくらいですか?
費用は体重や体調、必要な検査内容によって変動しますが、当院では以下がひとつの目安となります。
・駆虫(ノミ・マダニ・虫下し)+ワクチン:約8000円前後(体重により変動)
・猫エイズ・白血病検査:約4000円
保護時の状態によって追加の検査や治療が必要になる場合もあるため、実際には診察時にその子の状態を確認したうえでご説明しています。
Q. 検査はいつ受けるのが適切ですか?
ウイルス検査は保護後できるだけ早い段階での実施が望ましい一方で、感染直後は検査に反応が出ない期間が存在します。そのため当院では、保護直後の初回検査に加えて、保護から2か月後の再検査を推奨しています。
Q. 陽性だった場合、飼うことはできませんか?
猫エイズや猫白血病が陽性であっても、完全室内飼育でストレスの少ない環境を整えることで、発症せず長く穏やかに生活できる子もいます。ただし、同居猫が陰性の場合には感染予防の観点から、生活空間を分けた隔離飼育を前提に検討する必要があります。
Q. 妊娠している可能性がある場合はどうなりますか?
エコー検査などにより、妊娠の有無を確認することが可能です。当院では、妊娠が確認された場合も含め、避妊手術や出産の選択肢について、その子の体調や週齢を踏まえながら丁寧にご相談に応じています。
Q. 人にうつる病気はありますか?
ノミ、回虫、皮膚のカビなど、人に影響する可能性のあるものもあります。適切な駆虫や衛生管理を行うことでリスクを大きく下げることが可能ですが、保護直後の段階では手洗いの徹底や接触環境の管理を意識し、早めに医療的なチェックを受けておくことが大切です。
まとめ|自己判断は避け、まずはお電話でご相談ください
野良猫を保護した際は、初期の医療ケアを適切に行うことが大切です。その子が安心して新しい生活に慣れていき、大切な家族として穏やかに過ごしていくことにつながります。
アイ動物クリニックでは、保護された猫の年齢や体調、保護時の状況を丁寧に確認したうえで、その子に合わせた検査・治療・今後の飼育管理まで一貫してご提案しています。年齢や状態に応じた医療プランをご案内していますので、初めて保護された方でも安心してご相談いただけます。
また、当院ではTNR活動にも取り組んでおり、地域の猫と人がより良い形で共存できるよう、医療面からのサポートを大切にしています。大崎市・古川周辺で野良猫を保護された場合や、保護直後の対応に迷われている際は、自己判断で進める前に、まずはお電話にてお気軽にご相談ください。
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