2023.04.03 保護猫のTNRとは│殺処分される猫を少しでも減らすために
TNR活動は野良猫を保護し不妊手術を行い、繁殖を制限する活動であり、野良猫の殺処分の抑制、過剰繁殖による病気の拡散、人間とのトラブルなどを軽減するために重要な取り組みです。
本記事では、保護した野良猫のTNR活動についての重要性や助成金制度について解説していきます。
TNR活動について
TNR活動とは、野良猫の避妊去勢手術を行い、猫たちを元の生息地に戻すことで、野良猫の増加を抑える取り組みのことです。
Trap(猫を捕まえる)、Neuter(不妊手術を行う)、Return(猫を元の場所に返す)という英単語の頭文字をとってTNR活動と呼ばれており、野良猫の殺処分の抑制や健康状態の向上、地域環境の保護などさまざまなメリットがあります。
不妊手術を受けた野良猫は手術中にさくら耳(耳の先端をV字にカットすること)にするので、どなたでもその子が不妊手術を受けたかわかる目印になるという点も特徴です。
TNR活動の重要性について
TNR活動は、野良猫の繁殖を制限し、人間と猫が共存できる地域環境を保護するために必要な取り組みです。TNR活動が必要なのかについての理由をそれぞれ解説していきます。
2-1野良猫の増加を抑制する
猫は、繁殖力が非常に高く、1年間に2~3回の出産が可能です。
そのため、繁殖が制限されない限り、野良猫の数は急速に増加してしまうでしょう。
生態系や人間社会への影響が引き起こされることも考えられるので、こうした問題を解決するためにもTNR活動が有効です。
2-2地域猫間での病気や怪我を防ぐ
不妊去勢手術を行うことで、猫たちの性行動が抑制され、怪我や猫エイズ、猫白血病ウイルスなどの感染症が拡散するリスクを下げることができます。
そのため、TNR活動は、地域猫の健康を守るためにも有効な活動です。
2-3鳥類や生態系の保護
野良猫の数が増加しすぎると、自然界の鳥類をはじめとしたその他の動物を捕食する可能性があり、地域の生態系を乱してしまうことが考えられます。
そのため、TNR活動を通して野良猫の増加を抑制し、生態系を守っていかなければなりません。
2-4猫の糞尿やゴミを荒らされるなどの問題の軽減
野良猫は、地域内に糞尿を撒き散らしたり、ゴミを荒らしたりなどの衛生上の問題を引き起こすことがあります。
TNR活動はこうした人間の生活環境に対する問題に関しても軽減できるのではないかと期待されています。
TNR活動の助成金制度とは
TNR活動を行うにあたって、宮城県から助成金を受け取ることが可能です。
これによって、保護した方の金銭的な負担を軽減できます。
助成金を使用するためには、宮城県獣医師会への登録が必要です。
また、予算が上限に達し次第、助成金制度も終了する可能性があります。
当院は宮城県獣医師会登録病院ですので、利用される方は、あらかじめ金額や申請方法について当院までご連絡ください。
まとめ:地域の皆様へのお願い
地域の野良猫の問題を解決するため、TNR活動が行われています。
しかし、TNR活動がうまくいくためには、地域の皆様のご協力が必要です。
皆様にお願いしたいことは、以下の通りです。
①野良猫や不幸な猫の保護にご協力ください。野良猫は、放置されることによって、増殖し続けてしまいます。野良猫を発見した場合は、当院やTNR活動を行っている団体に連絡してください。
②野良猫にごはんを与える際には、餌や水を与える時間を決めて定期的に与えることを心がけ、 食べ終わるまで見てあげあげましょう。餌は放置しないようにしてください。
③おうちの猫に対しても、適切な飼育方法で外に出ることを防止してあげてください。
野良猫との接触により何らかのトラブルを抱えてしまう可能性もあります。
地域全体で協力することによって、野良猫問題を解決できます。
我々スタッフ一同、精一杯支援させていただきますので、皆様のご協力をお願いいたします。
宮城県大崎市を中心に診察を行う アイ動物クリニック
0229-22-3430