予防・治療について

2025.03.25  尻尾が下がる?背中が曲がる?|犬の椎間板ヘルニア早期発見法

愛犬の歩き方や仕草に「なんだかいつもと違うな」と感じることはありませんか?実は、そんなちょっとした変化が、椎間板ヘルニアのサインかもしれません。

椎間板ヘルニアは、犬の背骨にある「椎間板」というクッションの役割をする組織が変性し、神経を圧迫することで痛みや麻痺を引き起こす病気です。特にダックスフンド、フレンチブルドッグ、コーギー、ビーグルなど、胴が長く足が短い犬種はリスクが高いと言われています。また、加齢、肥満、過度な運動、遺伝的な要因も関係しているため、4〜6歳頃からリスクが高まり、シニア期に入るとさらに注意が必要です。

ヘルニアは、軽い痛みだけで済む場合もありますが、放置すると歩行困難や麻痺、排泄がうまくできなくなったり、最悪の場合、四肢が完全に動かなくなる場合もあります。そのため、早期発見と早期治療が何よりも大切です。

今回は、犬の椎間板ヘルニアについて、初期症状の見分け方や診断・治療法、日常生活での予防ポイントまで詳しく解説します。

■目次
1.見逃せない初期症状と要注意サイン
2.椎間板ヘルニアの診断と治療
3.日常生活でできる予防法
4.よくある質問(Q&A)
5.まとめ

見逃せない初期症状と要注意サイン

椎間板ヘルニアは、最初は「ちょっとした違和感」程度のサインから始まります。そのため、初期段階では飼い主様が気づきにくく、気づいたときには進行していた…というケースも少なくありません

次のような変化がないか、愛犬の様子をチェックしてみましょう。

<日常生活で見られる変化>

・尻尾を振らなくなった、または下がったまま動かない
・背中を丸めて歩く
・ソファや階段の上り下りを嫌がる
・抱っこしたときに嫌がる、キャンと鳴く

<痛みのサイン>

・触れようとすると嫌がる、逃げる
・身体をブルブル震わせようとして、途中でやめる
・同じ姿勢のまま動かないことが増えた

<歩き方の変化>

・歩き方がぎこちなく感じる
・後ろ足を引きずる
・歩いているときに左右に体が揺れる
・フローリングでよく滑るようになった

<こんな症状が見られたら、すぐに動物病院へ!>

以下のような症状が現れた場合は、すぐに動物病院へ相談してください。

後ろ足が動かなくなった
排尿・排便が自力でできなくなった
痛みで鳴き続ける、または全く動かない

 

椎間板ヘルニアの診断と治療

<診断について>

診断では、まず愛犬の状態を丁寧に観察し「どの程度の痛みがあるか」「自力で排尿ができているか」などを確認します。さらに、レントゲン検査や神経学的なチェックを行い、進行度を把握します。

その結果を踏まえて、MRI検査や外科手術が必要かどうかを判断します。MRI検査は当院では機器がないため実施できませんが、症状に応じて適切な仙台市内の専門施設をご紹介いたしますのでご安心ください。

<治療について>

椎間板ヘルニアの治療は、症状の進行度に応じて内科治療と外科治療に分かれます。

・軽度の場合(痛みがあるが歩行は可能)
まず消炎鎮痛剤で痛みを和らげ、ケージ内で安静に過ごしてもらう運動制限を行います。さらに、椎間板の保護を目的としたサプリメントを併用することで、症状の進行を防ぐサポートを行います。

・中等度の場合(歩行に影響が出始めている)
基本的な内科治療に加えて、リハビリを取り入れながら回復を目指します。ただし、内科的な治療だけでは改善が見込めない場合は、外科手術を検討することもあります。

・重度の場合(麻痺や排泄障害がある)
できるだけ早く外科手術を行う必要があることがほとんどです。適切なタイミングで手術を受けることで、回復の可能性が高まります。

症状に合わせた治療を選択することで、少しでも愛犬の負担を減らしながら、健康的な生活を取り戻せるようにサポートしていきます。

<リハビリについて>

治療と並行してリハビリを行うことで、回復を早めたり再発を防いだりする効果が期待できます。

・温熱療法:血流を良くし、筋肉の緊張を和らげます。
・軽いマッサージやストレッチ:神経の回復を促進します。
・水中歩行や軽い運動:負担を軽減しながら、筋力を維持します。

 

日常生活でできる予防法

椎間板ヘルニアを予防し、再発リスクを下げるためには、日常のケアや環境管理が重要です。特に、正しい抱っこの仕方適切な散歩方法体重管理を意識することで、負担を軽減できます。

<正しい抱っこの仕方>

椎間板に負担をかけないようにするためには、前足と後ろ足をしっかり支えて平行に抱っこすることが大切です。片手で胴を持ち上げたり縦の状態で抱っこしたりすると、背骨に余計な負担がかかり、ヘルニアのリスクが高まります。以下の方法を意識しましょう。

片手を胸の下に、もう片方の手をお尻の下に添えて持ち上げる
・腰をそらせないよう、胴体が床と平行になるように体を安定させる
・高いところから降ろすときも「ゆっくり」「優しく」を心がける

<散歩の仕方>

椎間板ヘルニアのリスクを軽減するためには、適度な運動が重要です。ただし、無理のない範囲で適度な運動を心がけましょう。

・長時間の散歩を避け、短時間の散歩を複数回に分ける
階段はできるだけ抱っこで移動する
段差の少ない道を選ぶ

<体重管理>

体重が増えると椎間板にかかる負担も増加します。適正体重を維持することが最もシンプルな予防策です。

・獣医師と相談し、適正体重を把握する
・食事の量や内容を見直し、カロリーコントロールをする
・適度な運動を取り入れ、筋力を維持する

<便利な予防グッズ>

椎間板ヘルニアは、日々のちょっとした工夫や環境づくりでリスクを軽減することができます。愛犬が少しでも安心して過ごせるよう、次のようなサポートグッズの活用もおすすめです。

・滑り止めマット
フローリングなどの滑りやすい床には滑り止めマットを敷くと安心です。愛犬が滑ってしまうと、腰に大きな負担がかかります。いつものお部屋にマットを敷いておくだけで、足腰への負担の軽減が期待できます。

・胴輪タイプのハーネス
首や背中への負担を考えると、胴輪タイプのハーネスがおすすめです。散歩中に引っ張るクセのある子や、首回りの負担が気になる場合でも、優しく体を支えてくれるので安心です。

・低床タイプのベッド
ベッドはなるべく高さのない低床タイプを選びましょう。ジャンプして上り下りする動作は、椎間板に大きな負担をかけてしまいます。低いベッドであれば、日々の負担を減らすことにつながります。

 

よくある質問(Q&A)

Q1:MRI検査は高そうで不安…
A:確かにMRI検査は高額ですが、症状が軽い場合は薬や安静で治療できることもあります。まずは獣医師に相談し、愛犬の状態を正確に知ることが大切です。

Q2:ペット保険は適用されますか?
A:ほとんどの保険で適用されますが、契約内容によって異なりますので、事前に保険会社に確認いただくことをおすすめします。

Q3:手術が必要な場合、入院期間と費用はどのくらいですか?
一般的な入院期間は3〜5泊程度ですが、回復のスピードや術後の状態によって異なります。費用についても症状の程度や治療内容によって変わるため、詳細は担当の獣医師にご相談ください。

Q4:食事で気をつけることは?
A:肥満は大きなリスク要因なので、適切な食事量やカロリーの管理に注意しましょう。また、関節や椎間板の健康をサポートする栄養素(グルコサミンやコンドロイチン)を取り入れるのも効果的です。

 

まとめ

椎間板ヘルニアは、早期発見・早期治療が何よりも大切です。「ちょっとおかしいかも…」という小さな変化を見逃さないことが、愛犬の健康を守る一歩になります。少しでも気になることがあれば、早めに動物病院にご相談ください。

 

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