2024.12.03 猫の口内炎について┃よだれが多いのは口内炎のサイン?
「最近、愛猫がよだれをたくさん垂らしているけど、これって大丈夫?」と心配になることはありませんか?
さらに、食欲が落ち、ご飯を食べるときに痛そうな様子が見られると、なおさら気がかりですよね。
これらの症状、もしかすると口内炎が原因かもしれません。猫の口内炎は、早期発見と適切なケアが大切です。
今回は、猫の口内炎について詳しく解説し、飼い主様が気をつけるべきポイントをお伝えします。
■目次
1.猫の口内炎の主な症状
2.ご家庭でできる口内炎のチェック方法
3.猫の口内炎が起こる主な原因
4.発症しやすい猫の特徴
5.予防対策と日常のケア方法
6.診断と治療方法
7.まとめ|口内炎の治療には飼い主様の根気も必要
猫の口内炎の主な症状
人間の口内炎といえば、歯茎や頬の内側にできる小さな白いできものを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、猫の口内炎はそれとは少し異なり、以下のような独特の症状が現れるのが特徴です。
・よだれが多くなる
・歯茎や口内粘膜が全体的にうっすら赤くなる
・口臭が強くなる
・食事中に頭を傾け、食べにくそうにする
・食べこぼしが増える
・口を気にして前足で触るようなしぐさをする
・なんとなく食欲が落ちる
さらに口内炎が進行すると、以下のようなより深刻な症状が見られることがあります。
・口内に明らかな赤い炎症部分ができる
・さらに口臭が強くなる
・口を閉じられず、よだれを垂らし続ける
・毛づくろいをしなくなる
・食欲がなくなり、水も飲まなくなる
・体重が減少する
猫の口内炎が慢性化すると「慢性口内炎(FCGS)」と呼ばれる状態に進行することがあります。慢性口内炎になると、痛みが激しくなり、薬だけでの治療が難しくなることもあります。早期発見や治療が、愛猫の負担を減らすためには欠かせません。
ご家庭でできる口内炎のチェック方法
愛猫の口内炎を早期に発見するためには、日々の観察が大切です。以下のようなポイントを意識してチェックしてみましょう。
・食事中の様子を観察し、食べ方や食欲に変化がないか注意する
・口を開けて、歯茎や口内に赤みや腫れがないかを確認する
・普段の口臭と比べて急に匂いが強くなっていないか確認する
これらのチェックを日常的に行うことで、口内炎を早い段階で発見し、適切な治療を受けさせてあげることができます。
猫の口内炎が起こる主な原因
猫の口内炎はひとつの原因だけで発症するわけではなく、さまざまな要因が絡み合って起こる病気です。
愛猫を口内炎から守るために、主な原因を理解しておくことが大切です。
・歯周疾患との関連
歯や歯茎の病気が口内炎の原因となることがあります。
不正咬合(歯の噛み合わせが悪い状態)では、歯が歯茎や口腔粘膜を傷つけることがあり、これが炎症を引き起こして口内炎に発展します。
また、歯周病の原因菌が増殖すると、炎症が広がり口内炎を悪化させる場合があります。
・免疫力の低下
年齢を重ねることや基礎疾患がある場合には免疫力が低下しやすくなり、その結果、口内の細菌バランスが崩れて口内炎が発症しやすくなります。
さらに、猫特有のケースとして自分の歯に対して免疫反応を起こし、それが原因で口内炎になることもあります。これは特に慢性口内炎と関連するケースが多いです。
・ウイルス感染
カリシウイルス、ヘルペスウイルス、猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)といったウイルス感染も原因のひとつです。
これらのウイルスは口腔内に炎症を引き起こすだけでなく、免疫力を低下させるため、症状が悪化しやすくなります。
・内科系の病気による影響
腎臓病や糖尿病といった内科的な病気も口内炎を引き起こすリスクを高めます。
これらの病気は免疫力や栄養状態を低下させるだけでなく、体内に有害物質が蓄積することで、口腔内の健康状態に悪影響を与えることがあります。
発症しやすい猫の特徴
猫の口内炎は特定の猫種に限らず、どの猫にも起こり得る病気です。
ただし、一般的に年齢を重ねるにつれて発症のリスクが高くなる傾向があります。
また、腎臓病やウイルス感染症などの基礎疾患を持つ猫も、口内炎にかかりやすいとされています。
予防対策と日常のケア方法
猫の口内炎を予防するためには、日常的なケアが欠かせません。
その中でも、最も大切なのが歯磨きです。毎日少しずつ練習をして、愛猫が歯磨きに慣れるようにしましょう。
歯ブラシは必ず猫専用のものを使い、力を入れすぎないように優しく磨くのがポイントです。もし歯ブラシを嫌がる場合は、指にガーゼを巻いて歯を軽く拭う指磨きから始めてみるとよいでしょう。
また、ワクチン接種も重要なポイントです。カリシウイルスやヘルペスウイルスなど、ウイルスによる口内炎の発症を防ぐためには、必要なワクチンを定期的に受けるようにしましょう。
そして、動物病院で定期的にお口の健康状態をチェックしてもらうことも忘れないでください。少なくとも年に1度、可能であれば数カ月に1度のペースで診察を受けると安心です。
診断と治療方法
口内炎を診断する際には、まず飼い主様から愛猫の症状について詳しくお話を伺い、口内の状態を確認します。
また、口内炎の原因が基礎疾患に関連している可能性がある場合、採血や尿検査などの追加検査が必要になることもあります。
治療法は、症状の進行具合や原因に応じて選択されます。主に薬物療法、外科的処置、食事療法の3つが中心です。
<薬物療法による内科的治療>
ステロイドや抗生物質を使用して炎症を抑え、感染を防ぐ治療が行われます。口内炎が初期段階であれば、薬物療法のみで症状が改善する場合もあります。
しかし、進行した口内炎では薬だけで根本的な治療を行うのは難しく、治療が長期間にわたることが多くなります。
この場合、治療の目的は症状の緩和となり、完全に治癒することが難しいケースもあります。
<歯科処置を行う外科的治療>
外科的治療では、歯石の除去や原因となる歯の抜歯が行われます。抜歯によって症状が改善するケースも多く、当院でも4~5割の猫が抜歯後に改善が見られています。ただし、抜歯後は歯茎が縫合されているため、一定期間は硬いフードを避けるなどの食事管理が必要です。
<食事療法>
自宅でできるケアとして、食事療法も効果的です。愛猫が痛みを感じている場合には、フードをお湯でふやかすか、柔らかいウェットタイプのものに変更すると食べやすくなります。
また、口内の刺激を抑えるために、味の薄いフードを選ぶことも大切です。
まとめ|口内炎の治療には飼い主様の根気も必要
どれだけ気をつけていても、愛猫が口内炎にかかってしまうことはあります。特に口内炎は治りにくいことが多く、治療が長引くと飼い主様も不安やストレスを感じるかもしれません。
しかし、大切なのは焦らず根気よく治療を続けることです。愛猫の痛みや不快感を和らげ、少しでも快適に過ごせるようにするためには、飼い主様の温かなサポートが欠かせません。
信頼できる動物病院としっかり連携を取りながら治療方針を確認し、一歩ずつ進めていきましょう。
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