予防・治療について

2023.09.01 犬や猫の拡張型心筋症について|症状、原因、予防法などを解説

拡張型心筋症とは、心臓の筋肉が薄くなり、全身へ血液を送り出す力が弱くなってしまう犬や猫に見られる心筋症の一つです。初期段階では無症状のことも多いですが、進行すると様々な症状が現れます。
今回は、犬や猫の拡張型心筋症について解説します。

原因

拡張型心筋症は、遺伝が関係していると言われており、犬では特にドーベルマン・ピンシャーやボクサー、ゴールデン・レトリバーなどの大型犬に発症が多く、一方で猫では犬に比べて発生は少ないですがシャムやバーミーズで好発します。

また、タウリンやL-カルニチンなどの栄養素の欠乏や、ウイルス性心筋炎も発生に関与していると考えられています。

症状

拡張型心筋症は進行がゆっくりとした疾患で、初期では無症状であることも多く注意深い観察が不可欠です。しかし、病気が進行すると次のような症状が見られるようになります。

元気や食欲の低下
運動を嫌がる
よく咳が出る
苦しそうに呼吸をする
舌や歯茎が青紫色になる(チアノーゼ)

気になる症状が見られる場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

診断方法    

心臓の拡大や機能障害を詳細に評価するために、聴診、心エコー図検査、レントゲン検査、心電図検査などを行います。

治療方法  

拡張型心筋症の治療では、主に強心剤や血管拡張薬、利尿剤などの投薬による内科的な治療が行われます。
加えて、心膜水や重度の胸水、腹水の貯留がある場合には胸や腹部に針を刺して水を抜く処置を行うことや、呼吸が苦しい場合には酸素吸入を行うこともあります。
また心臓の負担を減らすため、運動制限を行うことや低ナトリウム食による食事療法も有効です。

予防法や飼い主が気を付けるべき点

拡張型心筋症を予防するための明確な予防法は残念ながらありませんが、タウリンが欠乏しないよう与えるフードには犬、猫それぞれに対応した適切なものを選ぶことが重要です
特に猫では犬に比べてタウリンが不足しやすいため、キャットフードは猫に必要な量のタウリンが摂取できるよう設計されているものがほとんどです。ですので、猫にドッグフードを与えることは控え、必ずキャットフードを与えるようにしましょう。

まとめ

拡張型心筋症は根治できない疾患のため、発症してしまった場合には生涯にわたり投薬や食事療法の継続が必要となります。
しかし、早くから治療ができれば重症化を防げるだけではなく、多くの場合、日常生活でも大きな負担を感じることなく過ごすことが可能です
病気の早期発見のためにも日頃から定期的な健康診断を受けるようにし、もしペットに気になる症状が見られた場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。

宮城県大崎市を中心に診察を行うアイ動物クリニック
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〈参考文献〉
獣医内科学 第2版 小動物編