2023.06.23 犬のフィラリア症について|毎月の予防が大切
フィラリア症は犬を飼っていると身近な疾患ですよね。
毎月の投薬や、感染していないかの検査…病院は混雑していることもあり、正直億劫だなと感じることもあるかと思います。
しかし一度感染すると長期の治療が必要になり、発見が遅れると命を奪いかねない厄介な病気です。
今回は犬のフィラリア症の解説と予防の重要性について解説したいと思います。
原因
フィラリア症の原因とは、フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫の幼虫(ミクロフィラリア, mf)をもつ蚊に刺されることで感染します。
寄生虫は犬の血液中を巡りながら成長し、やがて心臓・肺動脈に寄生し成虫に成長します。
そこでさらなる幼虫を生み続け、犬の体内でフィラリアが増殖します。
症状
心臓や血管中のフィラリアが循環障害を起こすため、運動不耐性や咳嗽、心雑音が現れます。病態が進行すると、呼吸困難や腹水の貯留、削痩がみられるようになります。
診断方法
血液を用いたフィラリア抗原検出キットを用い、数分で診断できます。また顕微鏡で血液を直接確認し、寄生虫の目視も合わせて行います。
寄生虫の数が多いほどフィラリア成虫も多い(=治療に時間がかかる)と推察されます。
治療方法
寄生虫の駆虫薬を毎月投与し、これ以上フィラリア成虫が体内で増えないようにしたうえで、既に寄生しているフィラリア成虫の寿命を待ちます。
一度に多量の寄生虫が体内で死ぬとショック症状を起こすことがあるので、薬用量や投薬後の犬の状態に注意しながら慎重に行います。
循環障害の症状が出ている場合は、血管拡張薬や利尿剤を使用し、対症療法も合わせて行います。
予防方法
予防方法としては、毎月の投薬を怠らないことです。フィラリア予防薬は、体内の寄生虫を駆除し成長を阻止することで、寄生成立を予防します。
そのため予防薬は、蚊が出始める前の春(3~4月頃)に検査をして投薬を開始し、蚊が見られなくなってから1か月後までは飲ませる必要があります。
万が一フィラリアに感染している犬に予防薬を投与すると、寄生虫の大量死によるショック症状を起こすことがあります。投薬前に必ず検査を行い、感染の有無を確認しましょう。
予防薬には多くの種類(錠剤・チュアブル・スポットタイプなど)があるので、愛犬に合った方法を獣医師と相談し、選択して下さい。
毎月ではなく、1年に1度の注射タイプもあります。
フィラリア予防の重要性について、こちらの記事でも詳しく解説しています。
まとめ
フィラリアはしっかり予防していれば感染を防げる病気です。
しかし、1度飲み忘れただけ…今年はちょっと忙しくて…そんなうっかりで感染してしまった例がたくさんあります。
フィラリアに感染すると、循環障害やショック症状に注意しながらの投薬が1年以上続くこともあり、愛犬を命の危険に晒します。きっと大丈夫と思わずに、毎月ちゃんと予防しましょう。
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