予防・治療について

2023.07.28 猫の尿路結石は命に関わる病気?症状、原因、予防について

尿路結石とは、その名の通り尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができてしまう病気です。特に猫では年齢に関係なく発症しやすい病気の1つで、結石によって尿路が閉塞してしまうと命の危険もあるため注意が必要です。

今回は、猫の尿路結石について詳しく解説していきます。

症状

尿路結石ができている場合には、次のような症状が見られます。

何度もトイレに行く
トイレで鳴く
尿に血液が混じる
落ち着きがなくなる

また、結石が尿管や尿道に詰まって閉塞を起こした場合には、次のような症状が見られます。

尿が出ない
食欲不振
元気の消失

この場合は急性腎不全や水腎症、尿毒症を引き起こし命の危険もあるため、迅速な治療が必要です

原因

尿路結石は、主に尿のpH(液中の酸性度やアルカリ性度を示す数値)のバランスが崩れてしまうことが原因で形成されます。
pHがアルカリ性に傾くと「ストルバイト結石」、酸性に傾くと「シュウ酸カルシウム結石」ができやすくなります。
pHが変化する原因としては下記の要因が考えられます。

フードに含まれるミネラル類のバランス
尿路の細菌感染
少ない飲水量
肥満
遺伝
ストレス

診断方法

尿路結石の診断は、以下の方法で行います。

尿検査
尿のpHや、尿中に結晶、赤血球、細胞、細菌などが含まれていないかを確認します。

血液検査
尿路閉塞がない場合は検査結果に大きな異常は出ませんが、閉塞が起きていた場合には異常が見られるため、血液検査を行って確認します。

画像検査
レントゲンやエコー検査を行い、結石が尿路のどの部分にあるのか、尿管や尿道に閉塞が起きていないかなどを確認します。

治療方法

尿路結石の治療は、以下の方法で行います。
尿道が完全に閉塞している場合は、緊急性があるためすぐに尿閉を解除する処置を行います。

食事療法
尿路閉塞がなく、結石がストルバイトである場合には、療法食による結石の溶解を行います。

カテーテルの挿入
尿道で閉塞がある場合や、膀胱内の小さな結石では、尿道にカテーテルを挿入して閉塞を解除したり、生理食塩水を入れて膀胱から結石を洗い出したりします。

外科手術
療法食でも溶かせない結石や、尿管結石などで尿路閉塞を起こしている場合には、手術によって結石を摘出します。

尿路結石の発生には複数の要因があると考えられているため、治療を行っても再発する場合があります。
大切な家族の様子がいつもと違うと感じたらかかりつけの獣医師へ相談しましょう。

予防法や飼い主さんが気を付けるべき点

毎日の食事に栄養バランスの良いフードを使うことや、尿石症予防に対応した療法食にすることは、結石の予防に効果的です。

他にも、いつでも新鮮な水が十分に飲めるようにする、トイレを清潔に保つ、ストレスを減らす、適度に運動できる環境を整えるといったことも予防につながります。

結石の重症化を防ぐためには、早期発見、早期治療が重要です。異常がないうちから定期的に健康診断を受けることでちょっとした変化が出た際にも気づくことができます。

また、もし気になる症状がある場合には早めに動物病院を受診するようにしましょう。

まとめ

尿路結石は、症状が重くなってしまうと命を脅かす危険もあるため、注意が必要です。
また一度発症すると再発を繰り返すこともあるので、定期的に検査を受けることや、日頃から食事や生活環境に気を付けて、もしも愛猫に普段と違う様子や症状が見られた場合には早めに動物病院を受診しましょう。

宮城県大崎市を中心に診察を行うアイ動物クリニック
0229-22-3430
診療案内はこちらから