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2026.01.27  その「咳」は風邪?それとも心臓?犬の心臓病特有の咳の「音」と「タイミング」

愛犬が咳をしていると「喉に何か引っかかったのかな」「少し体調を崩しただけかも」と考え、しばらく様子を見てしまうこともあるかと思います。

しかし、犬の咳の中には、心臓病が関係しているケースもあります。心臓病は、進行するまで目立った症状が出にくく、咳が最初に気づかれるサインになることもあります。風邪のように見える咳の裏に、心臓からのSOSが隠れていることもあるため注意が必要です。

今回は、犬の咳について、診察の現場で判断の手がかりになることが多い「咳が出るタイミング」や「咳の音の違い」に注目しながら解説します。

■目次
1.「音」の違いから見えてくる、咳の原因のヒント
2.「タイミング」でチェックする咳のサイン
3.心臓の病気で咳が出る理由
4.受診時に獣医師に伝えていただきたい情報
5.よくある質問
6.まとめ

「音」の違いから見えてくる、咳の原因のヒント

犬の咳は、原因によって音の印象が異なることがあります。ただし、音だけで原因を断定することは難しく、あくまで判断材料のひとつとして捉えることが大切です。

<心臓病が関係している場合の咳>

カッカッ」「ケッケッ」といった、痰が絡んだような湿った音の咳が見られることがあります。特に、安静時や夜間に出やすい傾向があります。

▼犬・猫の心臓病についてはこちらから

<呼吸器の病気が関係している場合の咳>

風邪(ケンネルコフ)などでは、乾いた咳が続いたり、咳の最後に吐き出そうとするような仕草(レッチング)が見られることがあります。また、気管虚脱の場合は「ガーガー」とガチョウの鳴き声のような特徴的な咳が出ることもあります。

▼犬のケンネルコフについてはこちらから

「タイミング」でチェックする咳のサイン

咳が出るタイミングも、原因を考える手がかりになります。

<夜中〜明け方に目立つ咳>

夜間や明け方など、自律神経が切り替わる時間帯に出やすい咳は、心臓病が関係している可能性があります。

<興奮時や運動後に出る咳>

遊んだあとや散歩のあと、興奮したときに咳が出る場合、心臓のポンプ機能が弱っているサインであることがあります。このような場合「疲れやすい」「散歩を嫌がる」といった変化が同時に見られることもあります。

なお、気管虚脱でも同様のタイミングで咳が出ることがあります。そのため一概に「運動後の咳=心臓病」とは言い切れませんが、見逃したくないサインのひとつです。

<首元に力がかかったときの咳>

散歩中に首輪を引っ張ったときや、抱き上げたときなど、首元に刺激が加わった際に咳が出る場合は、気管虚脱が関係している可能性が高いと考えられます。咳が出る場面とあわせて、首に力がかかっていないかも日頃から意識してみてください。

心臓の病気で咳が出る理由

心臓の働きに変化が起こると、呼吸の通り道に間接的な影響が及び、咳として表に出ることがあります。

<心臓の肥大による気管の圧迫>

心臓の働きが低下すると血液がうっ滞しやすくなり、心臓が大きくなることがあります。
すると、そのすぐ上を通る気管が下から押され、刺激されることで咳が出やすくなります。

<肺水腫の前段階の可能性>

心臓病がさらに進行すると、肺に水分が溜まる「肺水腫」という状態になることがあります。肺水腫の手前の段階でも咳が出ることがあり、呼吸が苦しそうになるなどの症状を伴う場合は、早めの対応が必要です。

▼犬・猫の肺水腫についてはこちらから

受診時に獣医師に伝えていただきたい情報

咳が続く場合は、動物病院での診察をおすすめします。その際、次のような情報があると原因を考えるうえで大きな助けになります。

・咳の様子が分かる動画
咳の音や出方は、言葉だけで伝えるのが難しい症状のひとつです。
可能であれば、実際の咳の様子を動画で記録しておくと、診察時に状況を共有しやすくなります。

・安静時の呼吸数
安静時の呼吸数は、心臓病や肺炎などが隠れていないかを考える際の参考になります。

▼正常範囲の目安
1分間に10〜30回程度

▼測り方
①リラックスして横になっているときに、胸が上下する回数を15秒間数えます。
②数えた回数に4を掛けると、1分間のおおよその呼吸数が分かります。

例)15秒間に胸の上下が5回あった場合 → 5回 × 4 = 1分間の呼吸数は約20回

アイ動物クリニックでは、飼い主様からの気づきとその子の様子をもとに、レントゲン検査やエコー検査など必要な検査を段階的に組み合わせながら、咳の原因を丁寧に探っていきます。「どこまで調べるべきか」「今すぐ検査が必要か」といったご相談からでも構いません。気になることがあれば、まずはぜひ一度ご相談いただければと思います。

よくある質問

ここでは、犬の咳についてよくいただく質問をご紹介します。

Q. 「カッカッ」という咳をしていますが、元気も食欲もあります。様子見でいいですか?
元気や食欲があっても、病気が進行しているケースはあります。咳が続く場合は、早めに動物病院へご相談ください。

Q. 心臓病による咳は治りますか?
心臓病は完治が難しい病気ですが、早期に見つけることで、定期的な検査や飲み薬による治療で状態をコントロールできる場合があります。気になる症状があれば、早めの受診をおすすめします。

Q. 首輪をハーネスに変えた方がいいですか?
首への負担を考え、当院ではハーネスの使用をおすすめしています。特に咳が出ている場合は、首への刺激を減らす目的で切り替えをご提案することがあります。

Q. 高齢犬の咳は年齢の影響でしょうか?
高齢犬の咳にも、心臓病や肺炎などの病気が隠れていることがあります。高齢になると変化が増えますが、咳が見られる場合はぜひ一度ご相談ください。

まとめ

犬の咳は、風邪のような一時的な体調不良から、心臓や呼吸器の病気が関係しているケースまで、原因はさまざまです。特に、咳の音や出るタイミングは、体の変化に気づく大切なヒントになります。

元気や食欲があると判断に迷いがちですが、心臓病のように咳が初期サインとなる病気もあります。「少し気になる」「いつもと違うかも」と感じた段階で相談しておくことで、安心につながることも少なくありません。

咳の頻度や出やすい場面など、日常のちょっとした変化が、原因を考えるうえで大切な手がかりになることもあります。アイ動物クリニックでは、その子の状態や飼い主様のお話をもとに、必要な対応を一緒に考えてまいります。気になる咳があるときは、どうぞお気軽にご相談ください。

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