2023.05.31 犬と猫の肺高血圧症について│早期発見が大切
肺高血圧症は、心臓から肺へ血液を送る「肺動脈」の血圧が高くなってしまう病気です。
猫ではあまりみられませんが、犬では決して珍しい病気ではありません。
また、初期の段階では症状が現れないことから、病気に気がついたときにはすでに予後不良の状態に陥っているケースも少なくありません。
そこで今回は、愛犬・愛猫の肺高血圧症を早期発見できるよう病気について詳しく説明します。
症状
初期の段階では無症状であることがほとんどです。
仮に症状があったとしても、ちょっとした息切れや咳が出るといった程度なので、見逃してしまうケースも少なくありません。
しかし、病気が進行すると、以下のような症状がみられるようになります。
・咳
・元気がない、すぐに疲れる
・息切れ
・チアノーゼ(舌や口の中の粘膜が青紫色になる)
・呼吸困難
・失神
・腹水が溜まってお腹が膨れる
原因
犬や猫の肺高血圧症は、主に心臓や呼吸器の病気が原因で起こり、以下のようなものが挙げられています。
・僧帽弁閉鎖不全症
・拡張型心筋症
・動脈管開存症
・気管虚脱
・肺腫瘍
・フィラリア症
このうち、犬では僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症による肺高血圧症が多くみられます。
しかし、原因が特定できないケースや、いくつかの病気が併発しているケースもあります。
診断方法
肺高血圧症の確定診断を行うためには心臓カテーテル検査が必要になります。
しかし、犬や猫の場合は全身麻酔が必要になることから、診断を行うためだけに心臓カテーテル検査を行うことはほとんどありません。
そのため、一般的には心臓の超音波検査を中心に診断を行います。
心臓の超音波検査では、心臓の機能や構造、血流などで評価します。
また、その他にも身体検査やレントゲン検査、血液検査なども行い、肺高血圧症が疑われる症状はないか、原因となる病気はないか、全身状態はどうなっているかなどを確認します。
治療方法
肺高血圧症の主な治療方法は、肺動脈拡張薬による薬物療法です。
また、肺高血圧症を引き起こしている他の病気がある場合は、同時にその治療を行います。
予防方法
肺高血圧症を引き起こす原因でもあるフィラリア症は、毎月忘れずに予防薬を投与することで感染を予防することが可能です。
しかし、肺高血圧症を引き起こすその他の病気については、基本的に予防は難しいとされています。そのため、愛犬・愛猫のちょっとした変化にいち早く気づき、重症化する前に治療を行うことが重要です。
まとめ
肺高血圧症は心臓病や呼吸器疾患から起こりますが、重度にならないと症状が現れず、診断時に余命宣告されてしまうケースも少なくありません。
そのため、最近疲れやすくなった、咳が増えたなどの症状がみられた場合は様子をみず、すぐに検査を受けるようにしましょう。
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<参考文献>
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvcm/3/1/3_8/_pdf
・https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jvim.15725
・https://vth-tottori-u.jp/wp-content/uploads/2022/08/Topics124.pdf