予防・治療について

2024.08.23 犬の膝蓋骨内方脱臼について|足を引きずる愛犬が心配

愛犬が元気に走り回る姿を見ることは、飼い主様にとって何よりの喜びですよね。しかし、その走り方に少しでも違和感がある場合は、何かトラブルが隠れているかもしれません。
膝蓋骨内方脱臼(しつがいこつないほうだっきゅう)は、特に小型犬に多い膝のトラブルで、放置すると悪化する恐れがあるため、早期発見と適切な治療が必要です。

今回は、膝蓋骨内方脱臼について詳しく解説し、愛犬の健康管理に役立つ情報をお届けします。

■目次
1.膝蓋骨内方脱臼とは
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法
7.予後
8.まとめ

膝蓋骨内方脱臼とは

膝蓋骨内方脱臼とは、膝のお皿(膝蓋骨)が本来あるべき位置から外れてしまう状態を指します。通常、膝蓋骨は大腿骨の溝に収まっており、膝をスムーズに曲げたり伸ばしたりする役割を担っています。
しかし、この膝蓋骨が溝からずれると、膝の動きがぎこちなくなり、痛みや違和感を引き起こします。

特に、トイプードルやチワワ、ヨークシャーテリア、ポメラニアンなどの小型犬は、この膝蓋骨内方脱臼のリスクが高いとされています。また、遺伝的な要因も関わっているため、親犬が膝蓋骨内方脱臼を経験している場合、その子犬にも同じような問題が現れる可能性があります。

 

症状

膝蓋骨内方脱臼の症状は、軽いものから重いものまでさまざまです。初期の段階では、飼い主様が気づかないことも多いですが、次第に以下のような症状が見られることがあります。

・歩いているときに突然足を引きずる
・片足を浮かせたまま歩く
・短時間の運動後に足をかばうような仕草を見せる
・膝がカクカクと外れるような音がする

症状が進行すると足を使わなくなることが増え、それに伴って筋肉が萎縮してしまうこともあります。
重度になると、膝蓋骨が完全に外れて元に戻らなくなることがあり、その場合は手術が必要になることもあります。

 

原因

膝蓋骨内方脱臼の主な原因には、遺伝的要因とそれ以外の要因があります。遺伝的要因としては、膝蓋骨が収まる溝が浅いことや、大腿骨の形状が正常ではないことが挙げられます。

遺伝以外の要因としては、過剰な体重や過度な運動も膝に負担をかけ、膝蓋骨内方脱臼のリスクを高める原因となります。さらに、滑りやすい床での運動や転倒、激しいジャンプなどの外傷も、膝蓋骨内方脱臼の一因となることがあります。

 

診断方法

診断は、身体検査から始まります。診察では、膝を丁寧に触診し、膝蓋骨内方脱臼の程度を確認します。

また、レントゲン検査を行うことで、膝関節の状態を詳細に把握することができます。必要に応じて、超音波検査やCT検査などの追加検査が行われることもあります。

 

治療方法

膝蓋骨内方脱臼の治療は、脱臼の程度や年齢、体重、そして生活環境などを総合的に考慮して決定されます。ここでは、主な治療法をご紹介します。

<保存療法(非外科的治療)>

軽度の膝蓋骨内方脱臼では、内科的な保存療法で良好に経過する場合もあります。この方法には、鎮痛剤の投与、体重管理、そして運動制限が含まれ、愛犬の痛みを和らげながら膝関節を安定させることを目指します。
当院では、保存療法を中心に行っており、飼い主様のご希望に応じた治療計画を立てることができますので、安心してご相談ください。

 

<外科的治療>

保存療法では十分な改善が見られない場合や、脱臼が重度の場合には手術が必要になることがあります。この手術では、膝蓋骨を本来の位置に固定し、再び脱臼しないようにするための処置が行われます。

 

<リハビリテーション>

手術後や保存療法の一環として、リハビリテーションも非常に重要です。適切なリハビリを行うことで、犬の筋力を回復させ、膝関節の機能を向上させることが期待できます。

 

予防法

膝蓋骨内方脱臼を予防するためには、愛犬に適切な食事と運動を取り入れること、そして体重管理をしっかり行うことが非常に重要です。特に体重が増えると、膝への負担が大きくなり、脱臼のリスクが高まりますので、注意が必要です。

また、愛犬が日常生活で怪我をしないように、滑りやすい場所にはカーペットを敷いたり、過度なジャンプや階段の上り下りを控えたりすることも効果的な対策です。
さらに、定期的な健康診断を受けることで、早期にリスクを発見し、予防策を講じることができます。

 

予後

膝蓋骨内方脱臼の治療後は、長期的な管理が非常に重要です。特に手術を受けた場合、リハビリテーションと定期的な検査が回復の鍵となります。

また、膝蓋骨内方脱臼は再発することもあるため、飼い主様には愛犬の様子を注意深く観察することが求められます。
もし、痛みや歩行の異常が再び現れた場合には、早めに獣医師に相談することが大切です。愛犬が快適に過ごせるよう、治療後も丁寧なケアを続けてあげてください。

 

まとめ

膝蓋骨内方脱臼は、愛犬にとって痛みを伴う問題であり、放置すると悪化する恐れがあります。そのため、早期発見と早期治療が何よりも重要です。定期的に獣医師の診察を受けることで、愛犬の健康をしっかりと守ることができます。

愛犬の健康を最優先に考え、少しでも異常を感じた際には、迷わずすぐに獣医師に相談することをお勧めします。大切な家族である愛犬が、いつまでも健やかでいられるよう、しっかりとケアを続けていきましょう。

 

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