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2024.10.10 犬のクッシング症候群とは?|症状・原因・治療法・食事管理まで詳しく紹介

「最近、愛犬がよく水を飲むようになった」「トイレの回数が増えた」「お腹がぽっこりしてきた」「抜け毛が増えた気がする」と感じたことはありませんか?
こうした変化は、年齢によるものかと思いがちですが、実はクッシング症候群という病気のサインかもしれません。

今回は、犬のクッシング症候群の症状や治療法、食事管理について詳しくご紹介します。

■目次
1.クッシング症候群とは?
2.犬のクッシング症候群の症状
3.診断方法
4.犬のクッシング症候群の治療
5.食事管理と生活ケア
6.予後と寿命への影響
7.まとめ

 

クッシング症候群とは?

クッシング症候群は、体内で「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。別名「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれています。
コルチゾールはストレスに対応したり、体の代謝を調整したりする大切な役割を果たすホルモンですが、過剰に分泌されるとさまざまな健康問題を引き起こします。

主な原因は2つに分けられます。

 

<下垂体腫瘍>

脳にある下垂体という部分に腫瘍ができると、副腎が過剰に刺激され、コルチゾールの分泌が増えてしまいます。犬のクッシング症候群の約80%はこのタイプです。

 

<副腎腫瘍>

副腎そのものに腫瘍ができることで、コルチゾールが過剰に分泌されるタイプです。このタイプは全体の約20%を占めます。

 

犬のクッシング症候群の症状

クッシング症候群は、初期のうちは気づきにくいこともありますが、次のようなサインが見られることがあります。

水をたくさん飲み、トイレの回数が増える(多飲多尿)
食欲が増える
お腹がぽっこり膨らんでくる(ポットベリー)
脱毛や、皮膚が薄くなる
筋力が落ちる
疲れやすくなる

病気が進行すると、皮膚感染症や糖尿病など他の病気を引き起こすリスクが高くなります。

 

診断方法

まず症状について詳しくお聞きした上で、以下の検査を組み合わせながら診断を進めていきます。

血液検査:コレステロール値や肝臓の数値の上昇を確認します。
尿検査:尿比重の低下が見られるかどうかを確認します。
ACTH刺激試験:コルチゾールの分泌能力を評価します。
超音波検査:副腎の大きさや腫瘍の有無を調べます。
CT・MRI検査:必要に応じて、下垂体の腫瘍があるかどうかを確認します。

クッシング症候群と似た症状を示す他の病気もあるため、いくつかの検査を組み合わせて慎重に診断を行うことが大切です。

 

犬のクッシング症候群の治療

治療方法は、クッシング症候群の原因によって異なります。
下垂体腫瘍が原因の場合は、トリロスタンなどの薬でコルチゾールの産生を抑えながら、定期的にホルモン値を確認して薬の量を調整します。薬物療法は、長期的な管理が必要ですが、副作用が少ない点がメリットです。

一方、副腎に腫瘍がある場合は、腫瘍を取り除く手術が行われます。手術は根治が期待できる治療法ですが、麻酔によるリスクもあるため慎重な判断が求められます。

 

食事管理と生活ケア

クッシング症候群の場合、日常生活の中で適切な食事管理が非常に重要ですので、以下のポイントを意識しましょう。

低脂肪・高繊維の食事を心がける
体重管理と消化をサポートするために、低脂肪・高繊維の食事を選びましょう。特に、体重が増えやすくなる傾向があるため、脂肪分を抑えることが大切です。

塩分控えめの食事を心がける
塩分を控えることで高血圧の予防を目指しましょう。市販のフードには塩分が多く含まれていることがあるため、獣医師と相談しながら適切な食事を選ぶことが重要です。

食事は少量ずつ分けて与える
食事を数回に分けて与えることで、消化の負担を軽減し、血糖値の安定にもつながります。

適度な運動を取り入れる
筋力を維持するために、無理のない範囲で軽い散歩や遊びを取り入れましょう。ただし、過度な運動は負担になることがあるため、愛犬の体調を見ながら無理のない範囲で続けることがポイントです。

定期的な獣医師の診察を受ける
血液検査やホルモン値の確認を行い、必要に応じて薬の量を調整してもらいましょう。また、皮膚感染症や糖尿病など、クッシング症候群に伴う合併症にも十分注意が必要です。

 

予後と寿命への影響

クッシング症候群と診断された愛犬でも、適切な治療や日々の管理をしっかり行えば、多くの場合、良好な生活を続けることができます
寿命に関しては個体差や治療への反応によって異なりますが、適切にケアしてあげることで、数年以上にわたって元気に過ごすことが期待できます。

 

まとめ

クッシング症候群は、早めに発見して適切な管理をすることが大切な病気です。もし愛犬に少しでも気になる変化を感じたら、すぐに獣医師に相談してみましょう。
適切な治療と愛情深いケアにより、愛犬とより長く、より健康に過ごすことができます。愛犬の健康と幸せのために、一緒に頑張りましょう。

 

■似た症状を示す他の病気については、こちらで詳しく解説しています
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