
私たちは動物(ペット)について 深く考えることがあるでしょうか。
ここで私はペットすなわちコンパニオン・アニマルが人間とどのようにかかわりをもってきたかを考えてみました。
人間が動物を飼い始めて少なくとも三万年、いやもっとそれ以上たっているでしょう。
現在、世界のどの主要国の中でも日本はペットの所有率の増加が早い国とされています。 人間にとっても、動物にとっても、飼い、飼われることの中に大切な意味がひそんでいるからこそ、こんなに長い歴史があり、しかも地理的にも広くこの習慣が広まっているのです。
人間生活に動物の存在がどういう点でプラスになるか。それは人間の動物に対する基本的な心の動きは単純で、太古の時より変わりなく「好きになった。嫌いになった。親みたいな気持ちになった。あたたかくて柔らかい物にさわりたくなった。安らぎを感じたい。自分が大切な存在だということを確認したい。愛されたい。話しかけたい。笑いたい。泣きたい。」というような種々な欲求をことごとく受け入れてくれるからです。飼いならされた動物すなわちペットまたはコンパニオン・アニマルが同じ情の世界に属しているということが第一番にかわいがられるゆえんです。
いつ頃、ペットは人間生活に登場したかというと、 これは人間が初めて動物を飼う気になった時点を考えることによって答えがでます。またこれには二つの基本的な節があります。一つは、初めは動物は、その時代に合わせて何らかの用をさせられるためにならされ、やがて仲間になっていったという説。もう一つはその逆で、初めに人間と仲良くなり、それから仕事に使われるようになった。とりわけ飼い主の実利的な目的のために繁殖されるようになった、という説です。
動物をペットとして飼いならしたほうが先だとする説は常識的にもうなずけるもので。一回でも動物をなで、さすり、えさをやり、一緒にじゃれたりすれば夢中になってしまいます。私たちはそうなるように生まれついているのです。ペットを飼うようになった最初の一つの理由はそうした生物学的なもので、自然な流れだったわけです。
人間と協力して暮らしていくうえで、他の動物を圧倒的にひき離して大成功をおさめた二種類の動物がいます。いうまでもなく犬と猫です。犬も猫も、コミュニケーションの方法や、縄張り、遊びを含めて、共同体をかたちづくっていきました。人間も同じでした。犬や猫は他のどんな動物よりも順応性が高く、人間と共生できたのです。今のところ、犬と猫は他のペットを大きくひき離してペットの座を守っています。将来もたぶんペットの座を保ち続けることでしょう。